コロッケが米津のモノマネで炎上したのは どうすればよかったのか

(敬称略で書きます)

私は件の番組を見られていないのだが、モノマネ芸人のコロッケが若年層を中心に人気のミュージシャン米津玄師のモノマネをし、それが今SNSで炎上しているらしい。

具体的にコロッケは、「AI(ロボット)の米津玄師に扮装し、ロボットダンスをしながらLemonを歌唱。途中で故障し、おどけた調子で音程を外しだす」という芸を披露したらしく、それが米津を馬鹿にしているのではないか・全然似ていない としてファンの怒りを買う運びとなった。

今回の米津のモノマネはどういった形で行うのが良かったのだろうか。

 

 

まず前提として、私はコロッケの気持ちも米津ファンの気持ちも何となくだが汲める(せやろがいおじさんメソッド)。

特にコロッケは五木ひろし美川憲一といった、安定して披露できるおなじみの持ちネタがあるのに 旬のネタを取り入れよう・若い人達も楽しませられる芸を作ろうといった意欲的な姿勢に好感が持てる。

 

しかし問題はその題材のチョイスだ。ここで皆さんもテレビのモノマネ芸人になったつもりで米津玄師のモノマネ芸を考えてみてほしい。(ここで1分ほど考えてね) そう、米津玄師という題材はテレビでモノマネするには難儀なものなのだ!

 

 

ネットでなら米津玄師のモノマネがウケている場面を何度か見たことがある。

米津玄師の楽曲「Lemon」には氏の歌唱の合間に「ウェッ」という高音の囃子が入る箇所があるのだが、その部分を違う言葉や音に変えてモノマネしたりだとか、その部分に差し掛かる度にミットにキックを打ち込まれるといったものだ。

 

しかし、これらをそのままテレビ番組で披露しても同じようにはウケないだろう。モノマネを楽しむには基本的に元ネタを知っていることが前提となるのだが、米津玄師は知名度の割にTV番組への露出が少なすぎるため、テレビのメイン視聴者 特にテレビしか見ない人には何のこっちゃ伝わらないのだ!

あれはネットで流行っているものをネットでモノマネしたからウケているのである。当然だが 前述の五木ひろし美川憲一のモノマネも、発生当時よくテレビに出ていて広く知られた題材であったためテレビでウケたのだ。

 

 

今回のコロッケの芸もそういった事情を考慮し、米津玄師のモノマネ自体はごく表面的な部分のみに留め、おどけた歌を"メインの笑い"に据えて行う という形になったのだろう。そして炎上してしまった。

米津玄師という特殊な題材をどう扱えば穏便に事が済んだのだろうか。素人意見だが、他のモノマネと混ぜて行えば安定して笑いも取りつつ米津のモノマネもできたのではないかと思う。

 

例えば、Lemonのイントロの中 米津の恰好で俯きながらスタジオに登場し、「米津のモノマネをするのかな」と思わせておいて、顔を上げるとセロテープばりばりの美川憲一顔!そして結局いつものさそり座の女が始まるんかい!…

いやこれはダメだ。これも見かたによっては米津をディスっているように見える。

 

ならば 美川憲一ベースの状態で登場し、途中までさそり座の女。その後コロッケのAIが暴走して髪を搔き乱し始め、スタジオの照明も数秒間真っ赤になる。そしてLemonのイントロが流れ、顔を上げると米津になっている。その後普通にLemonを歌い始める(緊張と緩和)。

というのはどうだろう。「美川の髪って搔き乱すと米津になるんだ」というところが面白いし、お笑い理論の緊張と緩和も盛り込める。これなら誰も傷つけずにみんな笑えるのではないだろうか。

 

 

ということで、今回の結論は「米津のような特殊な題材を扱いたい場合、それをメインに据えるのではなく おなじみのギャグに変化を加えるスパイス的な使い方をする」という形になった。モノマネ芸も新しくて難しい時代に突入しているように思う。