最近フルデジタルをやめて途中までアナログで絵を描いています。なので良いシャーペンがほしい。
「細くて濃すぎない線」がほしいので、太さ0.3か0.4mmで硬度Hぐらいのシャーペンを試します。
購入にあたって調べて知ったこと
- 海外メーカーは0.4のペンや芯を作っていないので、0.4にするなら選択肢が狭まる
- 0.4の芯は入手に難くないものだと後述の3銘柄しかなく、硬度もHから(2Hがない)
- 金属グリップの滑り止めの溝はローレットという
- ペン先が円錐ではなく段になっているタイプのものをステップヘッドという
まず0.3から試す
入手に難くない0.3の芯は以下の商品。
- プラチナ万年筆 シン3-100- (HB・B)
- コクヨ エンピツシャープ (HB・B・2B)
このうちHの硬度があるのは上5つです。
まずは上3つを買って試してみましたが、Ain STEINは自分が望むより薄く, また主線の周囲がぼやけた感じになる、neoxグラファイトは濃度調整が難しく, ドッと濃い線が出てしまうという感じでした。
一番無難だったのはuniのナノダイヤです。
そして0.4の芯はこれら3銘柄しかないので、0.4の芯のほうはナノダイヤで仮決定です。
次に、一番下のコクヨのを残し残り3つを買って試しました。
ハイユニは同社製のナノダイヤより濃いという触れ込みだと思うのですが、個人的にはナノダイヤの方がシュリシュリと削れて紙に乗る感じで濃く見えます。
あとウェイトのあるペンに入れると濃度調整したいのにドッと濃くなる感じ。
ステッドラーの薄さは欲していた薄さでした。ナノダイヤより少し薄くハイユニとは同じ濃さな感じで、本当にHの鉛筆のような薄さです。ただし筆記時にキュッキュッと個人的にイヤな音が鳴ります。
プラチナのシン3-100-はHがなくHBで、描き心地は好きなのですがやはり描き込んでいくと欲しい濃さより濃くなります。
総括すると、
ナノダイヤ→まあ無難に使いやすい。
Ain STEIN→薄いけど慣れでカバーできるかも。HBも試したい。
という感じで、どちらも0.4がある銘柄だし 0.3は欲しい線より細いかもと思ったので、0.4を主力にすると思います。0.4の芯とペンを買って試します。
あとneoxグラファイトはもう少し薄かったらいいかもと思ったのでこれの2Hも買いました。
いい薄さですが、濃い線はギュッと描かないと出ないという感じです。重ねていくうちに想定より濃くなるのを防げるとも言えます。0.4には2Hがないのでこれは0.3の領分ですね。
ペン選び
ペン選びの基準は以下の通りです。
- 太くない
- 段差やテーパーがなくまっすぐ
- グリップが金属のローレットで、ボディがプラスチックの低重心のもの (ちなみにラバーグリップは苦手)
- グリップ終わりからペン先までの距離が短め
- 折れ防止で芯が引っ込むなど余計な機能がない
この基準を元に、ステッドラー 925 35(0.3mm)・パイロット S10(0.4mm)・ぺんてる グラフレット(0.4mm)の3本を買いました。クリップは邪魔だから外す。ここはフライドチキンの骨みたいなもん。
ステッドラーが一番しっくりくるのは知っていたのですが、ぺんてる グラフテットもこれに似た悪くないウェイトや太さで「これでもいけるな」と思いました。
一方パイロット S10はこの2本と比べると一回り太く重い感じです。
グラフテットが良かったので、これに似ているuni M4-552も買って試します。ウチダという評価の高い製図道具の会社が作ってるOEM品だそうです。
余談かつ失礼ですけど、この2本ってどこか廃盤になりそうな雰囲気がありますよね…。「昔に終売した商品です」と言われて出されても疑わない感じというか。
0.4mmでこういうシンプルなペンって他に無いので、今は要らなくても1本持っておくといいと思います。
グラフレットなんか珍しいローレットの入り方してるし、どっちも500円だし。
届きました。硬度表示窓の部品を外してテープを巻いてますが、写真上がM4-552です。重心比較です。M4-552の方が下寄りでした。グラフレットはグリップが少し細く、また滑りやすかったのでM4-552を使うことにします。自分的にはM4-552がちょうどいい太さでした。
あと本当は0.4ならモノテック1000というシャーペンが一番良さそうと思ったのですが、だいぶ昔に廃盤になってる物なのでこれは現実的な選択肢ではないです。
0.4の芯を試す
ナノダイヤHB→ナノダイヤはやはり無難に扱いやすいが濃い。描き味が鉛筆っぽくて良い
Ain H→線の感じが硬いし濃度調整が難しい
Ain HB→ちょうど良い。Ainは他の銘柄より薄いので、HBでHぐらいのほしい薄さになる →いや少し薄い?同じAinの0.5HBと比べても薄い気がする
Ain B→欲しい線より少し濃いし 鉛筆っぽくない描き味も好きじゃないけど、濃いめに描きたいときにHBでは出ない濃さが出せるためAinはこの硬度を使う
Ain 2B→濃すぎる
ナノダイヤH→ちょうどいい濃さ
1番はナノダイヤのH、次点でAinのBが良かったです。
軽いペン
ネットで絵描きのシャーペン事情を調べると手首の負担やウェイトの好みから 樹脂製の軽いシャーペンを選ぶ人の割合がかなり多く、それならと評判の良いものの情報を集めました。
具体的には上の「ペン選び」の条件から金属グリップであることを除いたペンです。
(国内では廃盤だがDELFONICSがOEM品を作っている)
https://shop.delfonics.com/feature/p200/
(芯が引っ込むクッション機構がある)
- プラチナ プレスマン
- べステック カラーメイトプロ(COLOREMATE PRO)
(三角軸で太いペン)
この中から自分が買うなら、丸い軸のものが使いやすそうなのでZEBRA ドラフィックス・takeda drafting・ステッドラー 925 65あたりを選びます。
ステッドラー 925 65は廃盤ですがまだ買えたので、市場に選択肢の少ない0.7と0.9を買って持っておきます。
2018年末に後継モデルの925 75が出たタイミングで廃盤になったらしいのですが、「2年ちょい経ってても探せば定価で買える」というのは今後の買い物の参考になりますね。
届きました。が、この金属クリップが尋常じゃなく抜けない。めちゃくちゃ強力に植わってます。
大人なんだから壊してもまた買えば大丈夫と言い聞かせつつ、最終的に真鍮線で治具を作って力づくで引き抜きました。舐めるな 大人を。
クリップの先端はこんな凶悪な形になっていました。分かりにくいですがギザギザに切られた板がさらに波打っています。どうりで抜けないはずです。
本当に抜ける仕様なのか検索しまくっても情報が出なかったのでここに書いて共有しておきます。
少し使ってみての感想ですが、やはりある程度ウェイトがあった方が使いやすいように感じました。
吹けば飛ぶような軽さなので描いてるときに頼りなくフラフラしてる感じがするというか、シャッシャと動いてしまうのが描きにくいというような感じです。
そしてそれとは別に思ったのですが、0.9はともかく0.7や0.5くらいの太さのシャーペンっていいですね…。0.5と0.7の925 35を買って使おうと思います。
0.5の925 35をしばらく使ってみましたが、
- 滑り止めが滑らなさすぎて使いにくい
- それでも使っているといつの間にかグリップじゃないところを握っている
- オール金属は重い
という欠点が見え、軸の形は丸型という条件を捨てて六角形のロットリング500(0.5mm)を買いました。
グリップと軸の継ぎ目が段差になっているのが気になりそうと思いましたが、意外と大丈夫でした。軸は樹脂製なのでいざとなったら自分で加工することもできます (そんな度胸はない)。
自分的には0.5がギリギリ許せる細線でした。ちょくちょく太いなと思うけどそういう使い心地のを使ってた方が何というか線の表情に幅が出やすい気がするのでこれでいきます。
パイロットS10(0.4mm)と元から持っていたステッドラー925(0.5mm)の口金がいつのまにか曲がっていました…。925の方はノックで芯が入っていきません…。
おそらく(プチプチ付きのですが)ビニール袋に入れて保管していたのが原因です。落とさない限り曲がらないものだと思っていました…。ペンはプラの筆箱に移しました。
製図用シャーペンは口金が長いぶん曲がりやすいんですかね…ショックです。
ペンは安価でどこでも買えるものを消耗品と割り切って使った方がいいのかもしれません。
100均(セリア)のスポイトを切ってキャップにしました。これで筆箱の中で動いても大丈夫だと思います。
0.5と0.7の芯も試す
0.5
ナノダイヤ F→濃い
Ain HBソフト→少し濃い。柔らかいせいで線の太さが乱れやすい感じがする
ナノダイヤ H→少し薄い。濃い線が出しにくい。硬めなのが線に出る
サクラクレパス レトリコ HB→とても柔らかくいい線が引けるが濃い
Ain HB→濃さよし。無難で使いやすい硬さ
ロットリング 2H→いい感じ。他社製のHより濃くて柔らかい感じなので2Hがいい感じです。
1番はロットリング 2H、2番がAin HB、3番がナノダイヤ Hでした。0.5mm芯はソフトや硬度Fなど他の芯径よりラインナップが豊富でしたが、オーソドックスなものが残りました。
ロットリングの芯は線の境界がややぼやけた感じで、力加減での濃さの振り幅が大きいけど、むしろそういう線じゃないと面白みがないと思ってるので良し。
この場合ロットリングが、というより日本の銘柄が描画線はっきりめな傾向にあるように感じる。三菱鉛筆uniの開発理念「Hの硬さでBの濃さ」などからも伺えるように硬く濃くはっきりさせたがる。製図でなくイラストに使うのもあって自分はこれの逆の方が好み。
ロットリングの芯、2HやHよりHBの方が硬い(削れにくい)感じがする。
0.7
Ain HB→0.4のときより描き味が気にならない。0.4よりだいぶ濃い
ナノダイヤ H→他の芯径と濃さ同じくらい
ナノダイヤのHが1番良かったです。
芯径0.7ではAin HBがナノダイヤ Hより濃かったです。つまり0.4のときと銘柄の濃さ関係が逆転しています。
結論
0.5mmのペン/芯
ロットリング500/ロットリング 2H
0.4mmのペン/芯
uni M4-552/ナノダイヤ H
0.5芯のところで線がはっきりしてる・ぼやけてるって話をしましたが、これは同じ径の芯でも線の太さが変わって見えるということでもあります。
基本的にはややぼやけて太く見える0.5ロットリング芯を使い、細かい所はシャープな0.4ナノダイヤ芯で描くという風に使い分けたいと思います。
おまけ 下描きに最適な鉛筆
シャーペンで描く前に薄く下描きをしたくて、それ用に硬度3Hで色んな鉛筆を買って試しました。横置きの3本が良かったです。
一番上のリラは頭1つ抜けており、めっちゃ薄く描けます。それよりもう少し濃く描きたい人は下の2本を使うといいです。
読んでくれてありがとうございました。